日本漁業の「獲りすぎ・頑張りすぎ」について考える今回の連載


ここで水産業界の方がよくおっしゃる意見として

「環境変化のせいで魚が減ったのであって、『頑張りすぎ』ではないんじゃないの?」

…というものがあります。


おっしゃる通りで、環境条件が魚の資源量に与える影響はとても大きいです。

魚が減った背景として、環境条件の変化は必ず頭に入れないといけませんね。

そして、今から数十年以内に、環境問題は魚資源により大きなダメージを与える危険性があり、今から対策が必要です。

 

ただ、近年までの日本では環境条件を理由に、必要な漁業規制まで入れられなかった部分があります。今後、注意しなくてはいけません。

 

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水温や海流、餌の豊富さなどの環境条件によっては、漁業と関係なく魚が激減することがあります。

特にイワシやサバ、マグロなど、浅い海を広く回遊する魚は環境の影響を受けやすい。

 

ポイントは「0歳魚の加入(卵や仔魚の自然界での生き残り)率」です。

この率が上がるか下がるかは、その魚種に合った水温や餌条件などが整うか=環境要因に左右されます。

環境条件がハマっている数年間は特定魚種が爆発的に増えたり、条件の合わない魚種が激減したりするのです。

太平洋系のマイワシを例にすれば、4年で9割近くがいなくなったりしたこともあります。

https://www.spf.org/opri-j/projects/information/newsletter/backnumber/2011/257_2.html

 

また、今は大気中の二酸化炭素が増えて海の酸性化が進んでいます。

この結果、海で一部のプランクトンやサンゴが育ちづらくなっています。

http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/mar_env/knowledge/oa/acidification_influence.html

 

プランクトンやサンゴは海の中で、魚の餌となる栄養分を育んでいますが、彼らがいなくなれば…魚に獲って悪い環境条件が、これからずっと続いてしまうかも知れません。本当は、今のうちからもっと対策を話し合うべきでしょう。


それと対策が遅れがちな環境悪化として埋立などの海浜開発があります。

開発は沿岸の磯や藻場、干潟に暮らす魚種に大きなダメージを与えていると思われますが、日本では、埋立のダメージ示す科学的な調査があまり行われていない印象です。


こうした環境条件を無視し、魚が減れば「何でもかんでも漁業が悪い」と言わんばかりの議論がありますが、これはちょっと乱暴です。

 

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ただし、環境条件の話には注意が必要です。

「魚が減った主因が環境要因=漁獲ではない」からといって「だから漁獲を規制する必要はない」と考える人が少なくないからです。


資源が減った魚種にこそ、手厚い保全・漁獲規制をしなければ資源が崩壊してしまいます。

ですが、これまでの日本では環境条件を言い訳に、必要な『頑張りすぎ対策』まで入らないことがありました(実例は次回)。


この背景として大きいのは、水産業界の空気だと筆者は捉えています。

「日本の資源が減ったのは漁業者の責任ではない、日本の漁業管理に問題はない」という人が好かれる一方で、「漁師さんの頑張りすぎ魚が減っているのでは」という人を敵視したり軽視したりする風潮があるということです(こちらも実例は次回)。