日本漁業の「獲りすぎ・頑張りすぎ」について考える今回の連載

ただ、日本の漁業界には、200年以上も自主的な資源保全策が根付いています(第3問参照)。

「なのに『頑張りすぎ』なんて起きるの?」と疑問に思った方は多いはずです。


たしかに漁師さん主導で「保全活動をしている」のは間違いありません。ですが、それだけで「保全が十分」とは限りません

漁師さんだけでなく科学者の知恵も入れた方が、「十分な」対策に近づけます

 

そして、酷なようですが…今の日本に「十分な」対策が多いとは言い難いです。


日本の漁業界には「科学的で厳しい漁業規制は漁獲を邪魔するもの」という意識が根強いですが、長い目で見れば、今まで「漁業規制の『不足』が資源と漁獲を損ねてきた」部分が強い…のではないでしょうか。


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昨年度末現在、全国では水産庁主導の資源管理計画1930件が実施されていますが、これら計画のほとんどは漁業者団体などが主体でつくっているもので「科学的な裏付けがないとの批判が、自民党水産部会の議論などで出ています。

 

一方で、日本の資源回復の成功例として有名なものは、科学者の助言を取り入れたものがほとんどです。

マサバ(太平洋)、マイワシ(太平洋)、サワラ(瀬戸内海)、イカナゴ(伊勢湾・三河湾)、アカガレイ・ズワイガニ(京都)、ナマコ(留萌)、ホッキガイ(苫小牧)など、いずれも科学者の介入後に回復が目立ち始めました。


次に、実際の「頑張り過ぎ」の例を、連載第2問の例に合わせて挙げてみます。

 

1.=漁獲割合が高すぎる:政府の分析http://abchan.fra.go.jp/digests28/index.html で「動向・減少」とされている魚種に多いです。

 

1.の代表例 ホッケ(道北):現在、科学者サイドは「資源回復には漁獲割合を7割減らす必要がある」と勧告。漁業者サイドの行う「漁獲努力3割削減」では、必要なレベルに追い付いていません。事実、資源の減少傾向にも歯止めがかかっていません。

http://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minato/articles/67584

 

1.の代表例 スケトウダラ(日本海北部):漁獲割合を下げるべきとの科学者の勧告に漁業者は「漁場にはスケトウが多い。漁獲を減らす必要はない」と反論。ただ、調査では「漁場となる産卵場には、資源の少ない今でも魚群が密集する。一方で、産卵場以外での生息密度が激減している」との結果が出ています。

http://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minato/articles/67096

 

2.=親魚不足:政府サイトで「水準・低位」とされている資源の多くです。

「低位」の基準についても、今年、水産庁と水研機構が「これまで諸外国と比べて甘くなっていた。見直すべき」と言い始めています。

 

3.=小魚保護の不足:政府サイトの魚種のうち「未成魚への漁獲圧が高い」「漁獲開始年齢を上げることで資源を有効利用できる」などと書いてある魚種。つまり、サイト中のほとんどです。

 

2.&3.の代表例 クロマグロ(太平洋):漁獲尾数の98%が2歳以下の未成魚。資源は増加を始めているものの、依然として過去最低レベルにあります。

http://www.jfa.maff.go.jp/j/tuna/maguro_gyogyou/attach/pdf/bluefinkanri-9.pdf

 

3.の代表例 底魚全般(福島):資源の資源量指標値(CPUE)が、本格操業停止後に軒並み数倍に増えました。例えばマダラは推定資源量が4倍に到達。原因については国の科学者複数人が「未成魚が漁獲を逃れ、1尾あたりのサイズが大きくなったことが主因」と話しています。

https://news.yahoo.co.jp/byline/komatsuriken/20151215-00052456/


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最後までお読みいただいてありがとうございます。

個人ごとの見方・捉え方が異なりやすい繊細なテーマを扱いました。


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