先日、テクノオーシャンさんというフリーペーパーに、昨年改正された漁業法に
ついて記事を書かせていただきました。
https://docs.wixstatic.com/ugd/507b39_7bed1af184614aeab9e32842227bfd16.pdf
主な内容は、減ってしまった漁業資源を回復させるための国の方針。


国は「食用の魚種がそれぞれ海にどれだけの量いるか科学的に調べて、
見合った水準まで漁獲を抑え、資源と漁獲を復活させよう」という姿勢です。
ただ、この改革を巡って、少し言い争いが起きています。

記事の通り、漁獲を抑える方針に漁業現場から反発がでているのです。
そりゃ、そうですよね。
漁師さんから見て、漁業規制は「将来の収入を増やす(であろう)」けれど
「目先の収入を確実に減らす」ものですから。


漁業規制の話には、漁業現場からの反対が起きる。これは割と世界共通です。
ですが、欧米ではここ数十年、科学者や環境団体や政治家などの
エリート層が機運を高めて、漁業現場の反対を押しながらも、
法的な漁獲規制を進めてきました。
監視しやすい大規模漁業では資源の回復が目立ちました。


日本で漁業規制を強めようという動きが生まれた背景にも、欧米の
エリート層や、そこと近しい日本人からの提案がありました。
とはいえ、こうした提案は何年も前から行われていたのに、実際の法改正は
昨年まで進まず。水産業界や近しい政治家の反対が強かったようです。
そして、制度自体ができた今も、反対感情はまだ強くある。
感情が強いゆえ、制度を実際どう動かしていくかという話し合いが、
今ひとつ進みづらい空気です。


思えば、悲しいすれ違いでした。
規制を提案する側は「適度に規制しなきゃ、魚が減って漁師さんが儲からない」
提案される側は「規制なんかされたら、日本の漁業がダメになる」と
それぞれ思ってきた。
ほぼ全員「漁業が盛り上がったほうが良いよね」で一致している。なのに、
小さなすれ違いから不信感や対立が生まれ、問題解決よりも感情対立に焦点が
当たってきました。


しかしながら、少しずつ、雪解けの気配も見えてきています。
意見の違う者同士、対立するだけではなく、知識を交換して
日本の漁業の良い部分を残し、伸ばし、改善点には向き合っていく。
そんな流れは生まれつつあります。上手くいけば、
日本の漁業は、アジア・アフリカなど世界の小規模漁業を、漁村を、
そして海の環境を救うための、お手本となれる。
むしろ日本こそ、世界のお手本になり得る唯一の国だと、筆者は考えています。


では、漁業規制の“推進派”と“慎重派”がどうしてすれ違ってきたのか、
どうすれば単なる対立ではなく知識の交換に向かえるのか、
そして、どうして日本の漁業が世界の海を救う潜在力を持つのか。
これから、何回かに分けて探っていきます。